11月17日の安倍首相による所信表明演説は異例の短さ。内容も新味を欠いた(時事)

11月12日に初めて地上波で放映された映画『シン・ゴジラ』は、SNSや職場でもちょっとした話題になっていたようだ。ゴジラというコンテンツではあるものの、右往左往する政権や、原発事故を想起させる放射能被害といった主題は、今なお「あるある」と思わせるほど、リアリティのあるものだったからだろう。

その反応を見ていて興味深いのは、「やっぱり震災時の民主党政権はダメだった」といったたぐいのコメントが少なかったことだ。森友・加計学園問題での現政権の稚拙な対応ぶりも、映画の中の政権と大差ないと見えなくもない。

何よりも大きいのは、民進党の分裂によって、民主党政権の宿痾(しゅくあ)を引き継いだ政党が、そのままの形で残ってはいないことである。映画は現在進行形の問題を引きずってはいるが、民主党政権の記憶を引きずるものではなかったのだ。

そこへ特別国会の論戦が始まった。設置認可が下りた加計学園・

岡山理科大学獣医学部の問題は、国会質疑の野党配分時間が政権の強引な方針によって変わったり、野党が分散したりしたことで争点が拡散し、核心は不明のままとなった。安倍晋三首相の所信表明演説は異例の短さで、内容も新味を欠いた。問題は残ったまま、というのが現状である。

とはいえ、官邸と与党との関係は変化しつつある。官邸は、人事面では改憲問題をめぐって議席のない高村正彦・自民党副総裁を留任させるなどの強引さを見せる一方、国会審議に関しては与党の要求に屈する局面も出ている。国会質疑時間の与野党配分問題も、当初は官邸が野党の質問時間を大幅に削ろうとしたが、与党がこれをいさめる形で、与党1対野党2とすることにまとまった。