順豊速運の専用貨物ジェット機に積み荷を運ぶ従業員。2020年度の自社専用空港開設を計画している(ロイター/アフロ)

中国の物流業界の成長が続いている。輸送手段も高度化し、大量の自社機保有による航空輸送をはじめ、大型の無人輸送機の開発、自社専用のハブ空港建設、さらには高速鉄道を活用した都市間即日配送サービスなど独自の手法が次々と登場している。米国並みの国土に14億人の人口を抱える中国は物流が経済のカギを握る。今後の成長余地は大きい。

中国国家郵政局によると2016年の宅配便取扱個数は312億個で、対前年比51.3%の増加。12年の57億個から年率50%以上の速度で伸びている。16年の日本の宅配便個数が約40億個なので、そのすごさがわかる。中国の宅配便業界は最大手の順豊速運を筆頭に圓通速逓、中通快逓、申通快逓、百事匯通、韵達快逓の通称「四通一達」を加えた6社が大手で、激しい競争を繰り広げている。

中国は世界に冠たるネット通販大国でもある。ビジネス需要だけでなく個人向けの宅配荷物が多く、大量の荷物を効率よくさばくため、宅配便各社はさまざまな技術開発を競っている。そうした状況の中、日本のヤマト運輸をベンチマークした高品質なサービスで他社を引き離しているのが広東省に本拠を置く順豊速運である。

自社専用空港を建設 大型無人機で全土に配送

創業者でグループ総裁の王衛氏は1970年香港生まれ。22歳のとき、広東省順徳市で運送業を始め、自ら自転車で配達するところから中国最大の物流企業を作り上げた人物だ。同社は今年初め深セン証券取引所に上場、一気に時価総額で同取引所トップに躍り出た。王氏は現在、個人資産2000億元超(1元は約17円)、アリババ創業者のジャック・マー(馬雲)氏らと並ぶ大富豪と目されている。

同社の16年度売上高は574億元で対前年比19.5%の伸び。今年度も9月末の段階で498億元と前年を大きく上回るペースで伸びている。すごいのは事業構想のスケールの大きさだ。現在保有する自社の専用貨物ジェット40機を、3年以内に100機体制にする計画。年内には湖北省鄂州(がくしゅう)市に自社専用空港の建設を始める(20年度に完成予定)。湖北省は北京─広州・深センを結ぶ南北線と上海─重慶・成都を結ぶ東西線の交差点に位置し、中国の人口集中地域の中央部にある。ここをハブに全土を専用機で結ぶ計画だ。