東芝の特設注意市場銘柄(特注)の指定から2年余り。審査を行った日本取引所自主規制法人の佐藤隆文理事長に聞いた。

日本取引所自主規制法人 理事長 佐藤隆文
さとう・たかふみ●1950年生まれ、73年大蔵省入省。2007年金融庁長官。13年東京証券取引所自主規制法人(現日本取引所自主規制法人)理事長に就任。(撮影:梅谷秀司)

──特注解除に市場関係から批判や疑問が出ています。

けしからんことをやった企業に厳しいペナルティを科すべきだという「懲罰的上場廃止論」があり、私も気持ちとしてはわかる。だが重要なのは、不正が行われた当時の東芝と、改善努力をしている今の東芝を冷静に区別することだ。

特注制度の目的は、日本の資本市場の秩序維持と投資家保護にある。そのための上場企業としての資質を備えているかどうかを判断する。特注指定後の改革努力や定着の状況を総合的に見て、内部管理体制が改善していないと判断すれば上場廃止となる。

──東芝はどれだけ改善したのですか?

今回の問題の根本原因は、経営トップが資質を欠いていたことだ。取締役会や監査委員会なども本来の職責を果たしていなかった。結果、社長の命令を実現するためには不正をやっても仕方がないというモラルの低下が起きていた。

そうしたことを踏まえて、東芝が取り組んだ組織改革や人事のプロセス、社内規定などの枠組みがどれだけ改善したのかをチェックしてきた。枠組みは目に見える形で改善しており、定着も相当程度進んでいると判断した。ただ、すべての分野で100%改善したと評価したわけではない。

大事なことは改革努力を続行しており、今後も改善を続けるというモメンタムがあるかだ。現状、そこは確認できているし、特注の解除後もフォローアップしている。