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沈む神戸製鋼 堕ちた名門の厳しい前途

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長期にわたって品質データを改ざんしていたずさんな実態が明らかになり、賠償など巨額損失のリスクも浮上。創立100年超の名門は存亡の機に立たされている。

(本誌:中島順一郎)写真:今年10月末に高炉が休止された神戸製鉄所(写真)。加古川製鉄所への高炉集約で収益力強化を図った矢先の不正発覚だった

週刊東洋経済 2017年12/2号
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ずさんすぎるガバナンス 堕ちた名門の険しい前途

「金子が私の部屋に来たのは8月30日の16時30分ごろだったと思う。『事業部内において副社長として不正を認識した。ただし、まだ全容はわからない』という一報だった」

データ改ざんを初めて知ったときの状況について、神戸製鋼所の川崎博也会長兼社長はそう振り返った。「金子」とはアルミ・銅事業部門長を務める金子明副社長のこと。川崎氏によれば、金子氏はその30分ぐらい前に同部門を担当する3人の執行役員から報告を受け、自分と同様に「愕然とした」という。

川崎氏が一報を受けてから約40日後の10月8日、神鋼は顧客と契約した仕様に適合しない一部製品に関して、検査証明書のデータ書き換えなどを行い、適合品として出荷していたと公表。対象は過去1年間に出荷されたアルミの板材や押出品、鋳鍛造品、銅製品で、同部門の年間出荷量の約4%(130億円分)に及んだ。

この日の記者会見で梅原尚人副社長は、改ざんに関与したのは「管理職を含めて過去1年間で数十人」とし、「組織ぐるみ」であることを認めた。不正が10年ほど前から続いていたことも示唆した。

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