10月の衆議院選挙では派手な野党再編の動きもあって、いつにも増して既存メディアの報道が政局に終始した。政策論議の可能性をネットメディアに求め、自ら「ポリタス」を主宰してきたメディア・アクティビストの津田大介氏に話を聞いた。

つだ・だいすけ●1973年生まれ。メディア、ジャーナリズム、IT・ネットビジネスなどを専門に執筆活動を行い、大学でも教鞭を執る。ソーシャルメディアで新しいジャーナリズムを実践。(撮影:谷川真紀子)

──衆院選をどう見ましたか。

英フィナンシャル・タイムズ紙に面白い論考が載っていた。世界はポピュリズムの波にのまれているが、日本は投票率が低いまま無党派層が動かず、ポピュリズムに流されていない、という皮肉なものだ。日本でも若者の右傾化がいわれて、出口調査で若年層の自民党支持率は高かった。だが、これは積極的に安倍晋三政権の保守性を支持しているのではなく、消極的に現状維持を選んでいるにすぎない。若者にとって最も重要な問題は雇用であり、雇用環境がよい中で、現状を否定する積極的な理由がなかったのだろう。

──政策論議がなされないのはどこに問題があるのでしょうか。

そもそも選挙の公示から投票日までが短く、2週間程度では政策論議を深めることはできない。公職選挙法でそれ以外の期間の選挙運動を禁止していることが時代に合っていない。公職選挙法を改正し、普段から議論できる環境を整えるべきだ。米国大統領選は2年かけて、政策から候補者を選んでいく。有権者の判断材料が多い。

日本の場合は、放送法の縛りもあって、特定の候補者にフォーカスした特集などできないので、有権者に判断材料がない。選挙期間中の報道は議席予測ばかりで、これは勝ち馬に乗る、判官(ほうがん)びいきとなるなど気分に任せた投票行動につながってしまい、よくない。