中国地方の日本海側、島根県と鳥取県の境目に境港(さかいみなと)市という街がある。面積約29平方キロメートル、人口約3万4000人の小さな港町だ。街の西側は島根県の中海に、東側は日本海に面する。市名のとおり境港(さかいこう)と呼ばれる港を有している。

ここに今、大量の人が集まっていることは意外に知られていない。訪問者は遠い海の向こうからやって来る外国人観光客である。

境港管理組合によれば、同港に寄港するクルーズ客船の数は2014年に11隻だったが、15年に23隻、16年に33隻と増え続け、17年には61隻に達している。

クルーズ客船でも大型といわれる総トン数10万トン超の船は、17年は16年の倍の8隻も寄港している。日本を代表するクルーズ船といえば「飛鳥Ⅱ」だが、この船で約5万トン。飛鳥の倍以上の規模のクルーズ船が続々と境港にやって来ていることになる。

訪日外国人の数は右肩上がりだ。16年に約2400万人、17年は2800万人を超えると予測されている。日本人の多くは、外国人が空港からやって来ると思っているが、最近は港湾からの入国者数が増加しており、16年で199万2000人にも達している。

クルーズ船から境港に下り立った外国人観光客は何をするのか。市内には故郷出身の漫画家、水木しげるさんを記念した「水木しげるロード」が整備されており、商店街では特産のカニや干物を売る店もにぎわっている。しかし、中国や韓国から来たアジア人観光客の目当ては別にある。イオンモールでの買い物である。

アジアからの大型クルーズ船が寄港する境港。外国人客の多くはイオンモールへ向かう(共同通信)