ESG投資の優良銘柄とされていた神鋼。株式市場にはショックが広がった(撮影:尾形文繁)

名門・神戸製鋼所による製品の品質データ改ざんは株価の急落を招いただけでなく、株式市場全体を震撼させた。神鋼は資産運用業界に「企業統治の優良企業」と持ち上げられていただけに、投資家の失望は一段と大きい。まさに“神戸製鋼ショック”だ。神鋼株にはインサイダー取引疑惑まで浮上している。

神鋼株は9月中旬まで1300円台半ばで推移していたが、10月16日に一時774円まで下落した。5000億円近くあった時価総額のうち約2000億円が吹き飛んだ。

神鋼株急落の最大の被害者はESG投資家だろう。ESGとは、環境(Environment)、社会(Social)、企業統治(Governance)の頭文字からなる造語だ。

日本では年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)がESG投資の旗振り役となっている。GPIFは、7月に1兆円のESG投資枠を設け、その際にESG銘柄で構成する「MSCIジャパンESGセレクト・リーダーズ指数」などを運用指標として選定した。神鋼は同指数の構成銘柄に採用され、企業統治などの充実度は運用開始時点では、7段階で上から2番目の「AA」に評価されていた。

神鋼は日本証券アナリスト協会が10月に開催した情報開示の優良企業表彰で、鉄鋼・非鉄金属部門23社のうち「公平な情報開示」の1位と「自主的情報開示」の3位を獲得した。昨年3月には日本鉄鋼協会から技術貢献賞を受賞し、経済産業省と東京証券取引所が合同で選出する「健康経営銘柄」には17年まで3年連続で選出されている。生産や情報開示、労務政策など各方面で非の打ちどころのない「良い会社」のはずだったが、その裏ではデータ改ざんという不正が行われていたわけだ。

「優良企業」のメッキが剥げ落ちたのは神鋼だけではない。