神戸製鋼所(以下、神鋼)の品質データ改ざん問題は日本の製造業の信頼性にも影響を与える事態に発展しつつある。同社はなぜ不正を繰り返すのか。企業のコンプライアンス問題に詳しい郷原信郎弁護士に聞いた。

ごうはら・のぶお●1955年生まれ。東京大学理学部卒。東京地検特捜部、長崎地検次席検事を経て2006年弁護士登録。(撮影:田所千代美)

──神鋼の改ざん問題の本質をどう考えていますか。

私は以前からコンプライアンス問題や不祥事を「ムシ型」と「カビ型」に分けて考えてきた。ムシ型は個人中心の単発的問題。カビ型は人的、時間的に広がりを持ち、何らかの構造的背景を持つ。このカビ型こそが神鋼や日産自動車の問題も含めて近年発生する不祥事の典型であり、深刻な問題だ。

11月10日に神鋼が公表した社内調査報告書は、さほど詳細ではないが、カビ型問題の背景がそれなりにうかがえる。「組織が縦割り」「本社のコントロールが十分効いていなかった」という問題は、大企業なら大なり小なり当てはまる。「仕様を逸脱した時どうするか」という問題は多くの素材メーカーや部品メーカーが抱える。この際、潜在化した同様の問題を一斉に調査して表に出すべきだろう。

──神鋼では特にアルミ・銅部門で問題が多発した。