米国連邦準備制度理事会(FRB)の次期議長にパウエルFRB理事が指名された。これはトランプ氏が大統領として行った決断の中で、最重要のものといえるかもしれない。パウエル氏の指名は分別に富んだまじめな決定であり、短期的にはFRBの金利政策が維持されることを告げている。金融規制については、よりシンプルでわかりやすいアプローチが取られることになるだろう。

パウエル氏はイエレンFRB現議長や、その前任者のバーナンキ氏と違い、経済学の博士号を有しているわけではない。だが、“普通”の理事としてFRBの仕事に従事する中で、今後の重要課題について深い見識を身に付けてきた。

しかし、勘違いしてはいけない。パウエル氏が率いようとしているFRBという組織は、世界の金融システムを牛耳る存在なのだ。他国の中央銀行総裁、財務相、そして大統領や首相でさえ、このような力は持っていない。

誇張に聞こえるだろうか。だとしたら、それはわれわれの多くが普段、FRBの働きに細心の注意を払っていないからだ。FRBが正しく機能すれば、物価は安定し、失業率は低位にとどまり、経済は成長する。だが、つねに正しく機能させるのは、簡単ではない。そして、FRBが間違いを犯せば、その結末は悲惨なものとなるのだ。

パウエル氏は5年間の任期の最初から、極めて難しい課題と向き合うことになる。株式市場は今、大恐慌につながった1920年代以上にバブル的な状況にあるとする見方がある。超低金利のせいで、リターンを求める投資家は、以前にも増して大きなリスクを引き受けるようになっている。