嵐のような歴訪だった。この稿を起こしている時点では、トランプ米国大統領のアジア歴訪はまだ続いているものの、中国訪問を終えた今、東アジアの現状が見えてきた観がある。

とにかく個性的な大統領だけに、迎えるほうもそれぞれのお国柄が出て、観客は大いに楽しませてもらった。もっとも、当事者の日本人の一人であるだけに、喜んでばかりもいられない。

日本で最も注目を集めたのは、米国大統領が訪れた隣国韓国の挙動である。確かに重要性では、中国もみのがすわけにはいかない。けれどもその不審さで群を抜くのは、やはり韓国だ。

「緊密な連携」はあったのか

すなわち、韓国政府がトランプ大統領を歓迎する11月7日の夕食会で、元慰安婦を招待し、また島根県・竹島の韓国名を冠した「独島(トク ト)エビ」を使った料理を供した事件である。日本政府は同日、さっそく抗議した。

やはり同日、これを報じた読売新聞は、北朝鮮の脅威に対処する日米韓の「緊密な連携」に「冷や水を浴びせるような行動で、外交的センスを疑う」と外務省幹部の歎声を紹介している。記事に誤ったところはないけれども、額面どおりうけとることはできない。

そもそも、日米韓が「緊密な連携」なのかが大いに疑問である。「冷や水を浴びせる」には、すでに熱がこもっていないといけない。日本を含めた三国間の関係というなら、つとに冷却していた。「告げ口外交」の朴槿恵(パク ク ネ)前政権のときからそうだったし、「反米」の文在寅(ムンジェイン)政権に代わっては、なおさらである。いまさら「冷や水」でもあるまい。

韓国の基本的な姿勢については、日米両政府とも熟知しているはずで、それでも「連携」を装う必要がある、というのが目前の「外交的」な要請なのである。米国大統領の「抱擁」も日本政府の抗議も、おそらくその一環であって、主権者たるわれわれはそこまで見すえたうえで、半島情勢を考えなくてはなるまい。