【今週の眼】小峰隆夫 大正大学地域創生学部教授
こみね・たかお●1947年生まれ。東京大学卒業。経済企画庁経済研究所長、物価局長、調査局長、国土交通省国土計画局長などを経て、2017年4月から現職。日本経済研究センター理事・研究顧問も務める。著書に『人口負荷社会』『日本経済論の罪と罰』『政権交代の経済学』など。(撮影:尾形文繁)

今回の衆議院選挙は、経済政策に関してはむなしさだけが残る不毛の選択となった。

まず、財政・社会保障改革については、財政再建にも社会保障改革にも真剣に取り組む姿勢が見られないという点で、各党とも似たり寄ったりだった。

私は、これからの日本経済を展望したときに、累積する巨額の財政赤字をどう処理するかが最大のリスク要因であると考えてきた。これに対応するためには、歳入については予定どおり消費税率を10%に引き上げて、その大半を財政再建のために振り向け、歳出は求められている子育て・教育支援を充実させるという観点からも、高齢者向けの社会保障関係費を大幅に合理化・削減していく必要がある。経済学者の多くはこうした考え方を共有しており、理解を示す政治家の方々も結構多い。

しかし、与党は、増税による財源の多くを教育や子育て支援のために使うと言い、希望の党と立憲民主党は消費税率引き上げそのものを凍結すると言う。一方で、各党ともに高齢者向けの社会保障の充実をむしろ主張する。財政再建や社会保障の合理化を考える少なくない人々には選択の余地がない。これがむなしくなくて何だろうか。

また、特に野党の側の経済政策に詰めの甘さが目立ち、政権を任せようという気にはとてもなれなかった。今回の選挙で与党が大勝したのは、与党の政策への支持が大きかったからというよりは野党の政策が相対的に貧弱だったため、与党を消極的に支持するしかなかったからではないか。これもむなしさの大きな原因である。