(撮影:今井康一)

4歳児の目の前に、お菓子を一つ置く。「15分後まで食べずにいたら、ご褒美にもう一つあげる」と言って、部屋に一人にする。この状況で食べるのを我慢できた子は食べてしまった子よりも、後の人生で大学進学率や所得が高い、対人関係がよいといった傾向があった。

これはマシュマロテストと呼ばれる、米スタンフォード大学の有名な実験。1970年に実験を受けた子どもの状況を約40年間、追跡調査した。我慢強さのような数値化が難しい能力「非認知スキル」こそが、人生を左右する。この実験の結果などから、近年そう考えられるようになっている。

我慢強さは経済学的には、時間選好率で説明できる。選好率が低いと、将来の報酬をより合理的に見積もり、忍耐強く待てる。選好率が高い人は将来の価値を低く評価し、せっかちに報酬を求める。

今すぐお菓子を一つ食べる価値は、15分後に二つ食べる価値より大きい、という実験中の子どもの心理は、選好率が高いといえる。ここには、将来が不確実にみえるため、より早く得られる目先の利益を優先し損失を未然に防ごうという意識が働いている。これを行動経済学は、損失回避性という概念で説明している。