統合に向かっていたはずの欧州で、地域の自立・独立を求めたり、反EU(欧州連合)を掲げたりする動きが相次いでいる。

10月22日、イタリア北部の二つの州で、自治権拡大を求める住民投票が実施された。ミラノがあるロンバルディア州とベネチアがあるベネト州だ。いずれも賛成が9割を超えた。こうした自治権の拡大や独立を求める流れが、今の欧州にはある。英国のEU離脱や、スペイン・カタルーニャ州の独立運動などだ。反難民・移民を主張する政党も各国で躍進している。

背景にあるのは経済格差の拡大。2008年のリーマンショック後、欧州各国間の国民所得格差は広がった。その中で難民や移民が増え、失業している層を中心に、反難民、反EUの声が高まっている。欧州各国の激動を追う。

スペイン

独立へ動くカタルーニャ

スペイン北東部、フランスと接するカタルーニャ州が、スペインから独立する動きを強めている。

10月1日、独立の賛否を問う住民投票を実施。有権者の4割が投票し、そのうち9割に当たる約200万人が独立賛成票を投じた、と州政府は発表している。

しかし、スペイン中央政府は、住民投票はそもそも違法行為だとしている。投票日には国家警察を派遣し、一部の投票所を封鎖した。それに反対する住民と警察との間では衝突が発生。警察が住民に向かってゴム製の銃弾を発射したケースもあった。

中央政府は州政府に対し、独立を宣言するなら「(自治権停止を定めた)憲法155条の行使を検討する」(ラホイ首相)と、強硬な姿勢を貫く。10月21日には、州の自治権の一部を停止し、州首相や州政府幹部を更迭する方針をラホイ首相が発表した。この措置を実行に移すかは、本稿執筆後の27日に開かれる議会上院の本会議で決められる見通しだ。

州側は当然、これらに対して反発を強める。21日には州都バルセロナで大規模な抗議デモが行われた。州首相のプチデモン氏は、独立を明確に宣言しない戦術を取り、法的措置の回避を狙っている。

しかし、「プチデモン氏の命運は尽きている」というのが、欧州政治に詳しい専門家の一致した見方だ。住民投票を主導し、圧倒的な独立賛成を得たにもかかわらず、独立宣言をしなければ、州首相としての役割は終わってしまう。民意を実現できないリーダーとの烙印を押され、次の議会選挙で負けるのが目に見えている。となれば、中央政府との対立姿勢を鮮明にするしかない。

ところが、対立を明確にし独立を宣言したら、中央政府は憲法にのっとって自治権の剝奪に動き、それこそ州首相の更迭が実行に移されてしまう。いずれにしろプチデモン氏が州首相の座に居続けられる可能性は低い。