軍事的挑発には圧力で対応と、北朝鮮に対する経済制裁が続いている。だが、その北朝鮮にこそどのような経済構造があり、どう機能しているのか。それを明らかにするテキストが出た。

現代朝鮮経済  挫折と再生への歩み (ERINA北東アジア研究叢書6)
現代朝鮮経済 挫折と再生への歩み (ERINA北東アジア研究叢書6)(日本評論社/208ページ)書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。

政治が経済に配慮する経済の論理が浸透中

──北朝鮮といえば、餓死者が出るほど貧しいのに、軍事にばかりカネを使っているというイメージが日本では強いと思います。

これまで北朝鮮経済を概観できる本はあまりなかった。それは、特に1980年代以降、北朝鮮が信頼できるデータを発表していないためだ。韓国産業銀行や韓国銀行などの機関がデータを発表しているが、どこまで信頼できるかといえば疑問が残る。「社会主義経済」という北朝鮮経済の全体像をどう示すかは、本当に難しい。

──国際的な経済制裁が実施されている中、その実効性を含めて、北朝鮮経済をどう見るべきですか。

北朝鮮の国家体制では、経済は政治の付属物、従属変数でしかない。全体的な国際政治状況がどう動くかによって、大きな影響を受けると思う。

同時に、金正日(キムジョンイル)政権時代の2009年に実質的なデノミである貨幣交換を行ったが、国民から強い反発を受けて実行が頓挫したことがある。当時の責任者は粛清された。このように、政治が意図した政策を実行しようとしても、国民側の経済の論理が動き、政治側が失敗するケースも出てきた。

国民の生活を国家が支えられなくなり、カネやモノがなければ政策が制約される。社会の中で経済の持つ重みがより目立つようになっている。政治も経済からフィードバックを受ける相互作用が生まれつつある。