長期的視野がまったく見えなかった安倍政権に変化の兆しが(時事)

安倍晋三首相による突然の解散の結果は、本号発売時にはすでに出ているであろう。選挙前の世論調査では、自公圧勝とのことだが、それにはいくらか留保をつけつつ、長期的視野で選挙後の政治を展望してみたい。

首相の解散の理由は、北朝鮮問題による「国難」もさることながら、2019年に予定されていた増税を実施する際に、その使途を国債償還とされていたものから社会保障の充実へと変えるということについて国民の信を問うためとされていた。再度の増税延期もあるという予測は、ここに否定されたのである。

従来の首相による成長戦略からの転換を意味するかどうかは定かではない。だが、いくつかの報道では、今井尚哉秘書官が、憲法改正とセットで増税を考えているとしている。この伝聞としての発言は、政権が描く未来像との関係で極めて重要だと筆者は見ている。

そもそも首相が憲法改正を政権の課題と宣言したのは、5月の憲法記念日であった。改憲推進派の集会に送ったビデオメッセージで20年に新しい憲法を施行すると述べて、9条3項に自衛隊を明記することを掲げた。そして自民党に対して、18年の国会での発議を目指して原案を作成するよう指示した。

その後森友・加計学園問題で内閣支持率が急落すると、憲法改正を前面に押し出すことはなくなったが、18年発議というスケジュールに現段階で大きな変更はない。