安倍晋三首相が「好機」と見て踏み切った衆院の解散・総選挙。小池百合子・東京都知事が希望の党を立ち上げ、民進党が合流を目指したものの、反発した一部は立憲民主党を結成。予想もしなかった野党再編が続いた。10月22日の投票後には首相指名、組閣が予定されている。総選挙後の政治課題を考えてみよう。

今回の解散に対して、野党側が「森友・加計隠し」と批判した問題はどうなるか。まず、加計学園が愛媛県今治市に開設を予定している獣医学部について、文部科学省の大学設置審議会は近く認可の結論を出す。そうなれば2018年4月開校に向けて学生の募集が始まる。これには「安倍首相の盟友、加計孝太郎氏が理事長を務める学校法人へのえこひいきではないか」といった声が高まるのは必至だ。安倍首相側は「設置審では専門家が大学の設備や教員配置などを公平に審議した」などと反論するだろうが、世論の風当たりは強まりそうだ。

森友学園に関しては、理事長だった籠池泰典夫妻が小学校建設の補助金詐取などの罪で起訴されており、今後は裁判で事実関係が明らかになる。それとは別に、国有地の売却について大阪地検が財務省近畿財務局を背任容疑で捜査するかどうかが焦点だ。立件されれば、「首相夫人の昭恵氏と懇意だった籠池夫妻を特別扱いし、国有地を格安で払い下げた」という批判が高まる。さらにこの土地売却をめぐっては会計検査院が調査しており、その結論も注目される。

北朝鮮問題はどうか。核・ミサイル開発を進める北朝鮮に対して、トランプ米大統領は軍事攻撃も辞さないという強硬姿勢を見せている。国連による石油製品の輸出制限などの制裁が効果を示し始めて、北朝鮮国内でガソリン不足などが深刻になっているという情報もある。局面打開のために、水面下での米朝接触も動き始めた。

そうした中、日本政府高官によると、米国の軍内部では「北朝鮮は外交交渉による妥協が成立しても、秘密裏に核・ミサイル開発を続けるだろう。その結果、核・ミサイルの技術が高まり、米国への脅威が増す。それを阻止するには、一度は軍事的に核・ミサイルの拠点をたたかなければならない」との議論が高まっているという。そのため、18年にかけて、米軍による大規模攻撃に向けた緊張が高まる可能性がある。

韓国に住む米国人の国外脱出などの動きが出てくれば、朝鮮半島だけでなく、日本も緊迫化するのは確実。その結果、再び米朝話し合いの機運が出てくるのか、それとも軍事衝突に発展するのか。一触即発の状況となる。日本政府の外交力、危機管理能力が試される。