「石橋家について、うかつなことは言えない」。福岡県久留米市の職員はそう話す。

久留米はブリヂストン創業の地であり、日本のゴム産業発祥の地でもある。そのルーツは足袋にある。初代の石橋徳次郎氏が1892年に仕立屋の「志まや」を創業。その跡を兄とともに継いだ石橋正二郎氏が1907年に足袋専業に転換、18年には日本足袋株式会社(現アサヒシューズ)を創立した。23年に足袋にゴム底を張り付けた地下足袋を考案して発売すると、炭鉱労働者からの人気が高まり事業規模を拡大した。

正二郎氏は日本にも自動車の時代が来ると予見し、日本足袋から独立させる形で31年に「ブリッヂストンタイヤ」(現ブリヂストン)を立ち上げた。久留米はブリヂストン、アサヒシューズ、同じく足袋から事業を拡大したムーンスターの企業城下町として発展した。

ブリヂストンは今やグローバル企業に成長し、2016年12月期の売上高は3兆3370億円、営業利益は4495億円に上る。今も久留米でタイヤを生産しているとはいえ、海外生産比率が74%と高い。地元企業としての存在感は徐々に薄れている。