「東京大学vs.アイビーリーグは6勝4敗で東大の勝ち」の真意とは。

教えてみた「米国トップ校」 (角川新書)
教えてみた「米国トップ校」 (角川新書)(KADOKAWA/256ページ)書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。

──6勝4敗で東京大学の勝ちなのですね。

東大の学費が米国の一流大学、ここでいうアイビーリーグの10分の1であることに、まず3勝分の価値がある。学費が安いことによって門戸は広く開かれる。米国には各種の奨学金があるといっても、4割ぐらいの学生は親が学費を黙って出す所得層。日本の学生は10分の1でやってきていることを何より評価すべきなのだ。

東大をはじめ日本の大学が勝っていること、むしろ強さだといえることに、教員と学生の距離の近さ、留学生の多様さ、さらには米国に追いつけないというコンプレックスの裏返しで、もっと頑張らなければいけないというハングリーさがある。ほかにもキャンパスの安全さなども加えて、総合して6勝4敗といっても「うそ」ではないと感じている。

高コストで維持される体系的な教育システム

──東大が負けている4敗とは。

何といっても教員の待遇だ。給与は圧倒的に向こうが高く、3年ごとに研究休暇も取れる。

さらに、学生を絞り上げて勉強させるシステムとして優れている。それが徹底しているがためメンタル面でやられてしまう学生もいる。そういう副作用があるにしても、体系的に教育する制度としてよくできていて、もちろん施設自体も充実している。

また卒業生をひっくるめ大学を支える体制もよくできている。入学試験において卒業生を動員して面接をする。卒業生をうまく大学のサポートに巻き込むあたりは、東大はもっとまねすべきだと思えるぐらいだ。

ただ、それもこれも大前提に高コストがある。すごい額の寄付金、学費の収入が大きい。もし東大の学費を10倍にすることができたら、それはもういろんなことができる。コストをかければ解決する問題にたくさん直面しているからだ。おカネの勝負になったら、総資産4兆円のハーバード大学や総資産3兆円のプリンストン大学に東大は勝てない。もっとも勝とうとすることが正しいこととは思えないが。

むしろ東大は高コスト体質の道を歩まずに、いかに大学改革を進めるか。そのポイントが教育の充実だと思っている。