原子力発電所で重大事故があったとき、被曝せず無事に避難できるのか──。

鹿児島県の原子力安全・避難計画等防災専門委員会は6月、三反園訓(みたぞのさとし)知事宛てに九州電力・川内(せんだい)原発に関する意見書を提出した。その中には避難計画の実効性を問う意見が多く盛り込まれている。

注目されるのが、甲状腺がんを防ぐための安定ヨウ素剤配布についての記述だ。

「UPZ(緊急時防護措置を準備する区域、原発から半径5~30キロメートル圏)から避難する際の安定ヨウ素剤の受け取りには、配布場所近隣での交通渋滞、順番待ち等で長時間を要することも考えられる。そのことで避難が遅れ、被曝量が増えれば本末転倒」

「安定ヨウ素剤は、服用のタイミングが非常に重要である。配布する仕組みを実効性のあるものにするためには、もっと細部を詰めていく必要がある」

原発事故の際の避難計画は国の原子力災害対策指針に基づいて定められており、原発から半径5キロメートル圏内(予防的防護措置を準備する区域=PAZ)と、同5~30キロ圏のUPZに分けて対策が打ち出されている。このうち5キロ圏内の住民は原発で冷却機能喪失の緊急事態が起きた場合、即座に避難する一方、人口の多い5~30キロ圏内の住民は自宅などでの「屋内退避」を求められる。そして放射性物質が一定以上漏れ出したら避難する。

しかしこうした「二段階避難」は被曝と背中合わせだ。安定ヨウ素剤は、5キロ圏内の住民には事前配布されているが、5~30キロ圏の住民には避難時に初めて配布される。そのため、「いざというときに服用のタイミングを逃すのではないか」(川内原発から12キロの場所に自宅を持つ鳥原良子・川内原発建設反対連絡協議会会長、68)との懸念が持たれている。

避難訓練も十分とは言いがたい。鳥原さんが、身体に障害のある長男(38)の通っているデイサービスや福祉作業所など3カ所の施設に問い合わせたところ、どの施設も今まで一度も避難訓練に参加していないことがわかったという。