核のゴミは実に扱いが難しい。使用済み核燃料からプルトニウムを抽出する「再処理」の過程で生まれた高レベル放射性廃液は、近くにいる人間を短時間で死に至らしめるほどの強い放射線を発する。廃液はガラス原料と混ぜ合わせたうえでステンレス容器に納められ、「ガラス固化体」として地中の奥深くに埋められる。これが高レベル放射性廃棄物の「地層処分」と呼ばれるものだ。

だが、原子力発電が始まって50年が過ぎたにもかかわらず、処分地はいまだに決まらない。

再処理の過程では、燃料集合体の切断片や排気フィルター、有機溶媒、硝酸など、放射性物質が吸着したさまざまな種類の核のゴミも発生する。これらTRU(超ウラン元素)廃棄物は、「地層処分相当低レベル放射性廃棄物」と呼ばれるが、低レベルの名には似つかわしくない高い放射能を持っている。そのためガラス固化体と同じく地層処分されることになっているが、こちらも候補地は未定だ。

科学的特性マップに専門家から批判も

経済産業省は今年7月、「科学的特性マップ」を公表し、核のゴミの地層処分場として「好ましい特性が確認できる可能性が相対的に高い地域」など4色に色分けした日本地図を示した。従来の「科学的有望地」から呼称を改めるとともに、国があえて候補地選定のたたき台ともなる地図を示すことにより、選定作業を前に進めようというのが狙いだ。

高レベル放射性廃棄物処分の実施主体である原子力発電環境整備機構(NUMO)は、「地図が示されたことで、今まで以上に国民に関心を持ってもらえる」と議論の進展に期待を寄せている。

だが、問題は山積している。火山学の専門家などからは、「マップの作成は評価すべきだが、各分野の研究者によるピアレビュー(相互検証)が行われておらず、その内容も科学的とはいえない」(井村隆介・鹿児島大学准教授)との指摘がある。

井村氏は、火山のリスクを評価する際、火山の中心から半径15キロメートル以内に限って好ましくない範囲に設定されたことについて、「あまりにも範囲が狭い」と指摘する。火砕流の影響範囲についても、「1万年前以降の火砕流が分布している地域に限って好ましくない範囲にしているが、10万年前以降を考慮している活断層などと比べて短すぎる」(井村氏)という。