東京電力(現東京電力ホールディングス)は、富士山が大規模な噴火を起こした際の火山灰によるLNG(液化天然ガス)火力発電所(ガスコンバインドサイクル)への影響が、従来の予想を超えてはるかに大きくなるとの検証結果を2016年3月にまとめた。非公表だったその内容を今回、本誌に初めて明らかにした。

東電は電力中央研究所に降灰シミュレーションの作成を委託。それを基に東京湾岸のLNG火力発電所が被る影響を社内の研究所で試算したところ、冬期には火山灰が敷地内に最大で20センチメートル降り積もり、吸気フィルターが3~15時間で閉塞(目詰まり)してしまうことがわかった。空気の取り入れができないと、発電機の運転を一時停止せざるをえなくなる。

東電はそれ以前、富士山の大噴火時に東京湾岸のLNG火力発電所が被る影響について「2~3割程度の供給力低下にとどまる」と評価していた。14年に経済産業省が設置した検討会でのことだ。

「発電所の立地地点での降灰深はいずれも2センチメートル。フィルターの取り替え頻度は約10日ごと(平均)」と想定していた。これは1カ月間にわたって噴火が継続する「一定量噴火モデル」によって試算したもので、「富士山ハザードマップ検討委員会報告書」(04年6月)に基づいていた(下地図は、同マップを基に作成)。

今回、その推定をはるかに上回る過酷な状況が生じうることが判明したのである。

大量の空気を取り入れて圧縮し、天然ガスを燃焼させて発電するガスコンバインドサイクルのLNG火力は、発電効率が高い。ジェット旅客機と似た仕組みだ。だが万が一、大量の火山灰が取り込まれた場合、ガスタービンの中で再び熱せられ、マグマのような状態になる。発電設備は損傷を受け、使用不能になる。それを防ぐうえでフィルターの存在は重要だが、火山灰で目詰まりすると、発電機を止めざるをえなくなる。