世界中の自動車メーカーが電気自動車(EV)に参戦する中、日本の自動車産業は生き残ることができるのか。EV化に伴う産業構造の変化は、日本経済にとってプラスなのかマイナスなのか──。大前研一氏に聞いた。

ビジネス・ブレークスルー大学 学長 大前研一
おおまえ・けんいち●1943年生まれ。日立製作所を経て、米マッキンゼー・アンド・カンパニーで日本支社長、アジア太平洋地区会長など要職を歴任。2010年4月から現職。(撮影:吉野純治)

──世界的なEV化の動きをどのように見ていますか。

中国は大気汚染対策のため、2025年ごろまでに年間販売台数の2割を次世代車にしようと、EVメーカーが温暖化ガスの排出枠(クレジット)を売って利益を得られる仕組みを導入した。これは米カリフォルニア州が手本。同州と中国の動きは共に政治がらみだが、自動車業界への影響は大きい。ここに来て英国やフランスもEVへの移行を掲げており、世界的にEV化の動きが加速している。

EVの部品点数は、少ないものではガソリン車の半分以下となり、部品メーカーが受けるダメージは大きい。特にエンジン関連の部品を扱う企業は深刻だ。プラグインハイブリッド車(PHV)にはエンジンが残るものの、いずれEVに移行する。20年代に急速な淘汰が起こるだろう。

部品が減るだけではない。カーシェアやライドシェアなど、シェアリングエコノミーが発達すると、自動車の販売台数は少なくとも今の7割程度に減るのではないか。