政府がセーフガード(緊急輸入制限)を発動し、8月から米国産の冷凍牛肉の関税率が引き上げられた。米国産牛肉を使用する吉野家ホールディングスはこうした状況にどう対応するのか。牛丼の価格改定や今後の展望について、河村泰貴社長に聞いた。

かわむら・やすたか●1968年生まれ。93年吉野家ディー・アンド・シー(現吉野家ホールディングス)入社。2012年から現職。14年から事業会社・吉野家の社長を兼任。(撮影:梅谷秀司)

──セーフガードの影響で牛丼価格が見直される可能性は。

牛肉はある程度の在庫を持っているが、今後を見据えて牛肉を確保していく必要がある。セーフガードによる影響だけではなく、現地の牛肉相場も上昇傾向にある。来期(2019年2月期)は原価に影響してくるだろう。

牛丼の価格についてはつねに検討しているが、現時点で値上げする計画はない。14年に牛丼を300円から380円に値上げしたところ、15%ほど客数が落ち込み、現在も回復しきれていない。消費者は価格に相当シビアになっている。

──そもそも吉野家は売り上げに占める牛丼への依存度が高い印象だ。

04年にBSE(牛海綿状脳症)で牛丼販売中止に追い込まれるなど、当社の歴史は牛肉に左右されてきた。

そこで、日本も含めて世界同時に鶏肉を使用した看板商品を作りたいと考えている。鶏肉は牛肉よりも生産サイクルが短い。仮に鳥インフルエンザが起こったとしても長期間にわたる影響はなく、宗教的タブーもない。進出先のマレーシアでは、牛丼よりも鶏肉商品が売れている店舗もある。

──吉野家では今年度から新商品の投入サイクルを半年から45日程度に早めた。

一つひとつの商品はそれなりにいいものができたという自負はある。ただ、短い期間に商品を集中して投入したことで商品の訴求が十分にできなかった反省がある。割引キャンペーンにしても、2〜3年前と比べて効果が弱くなっている。結果的に客数増につなげられていない。