安倍晋三首相が衆議院解散・総選挙実施を表明し、消費増税の使途変更を争点に掲げた。その実態はどうなっているのか。

9月25日の会見で、安倍首相は借金の返済に使う予定だった4兆円のうち、約2兆円を教育の無償化などに使うと語った。

問題はここでいう「借金の返済」の意味だ。わが国の基礎的財政収支は毎年、10兆円以上もの赤字(2015年度は15.8兆円の赤字)を出し続け、借金を膨張させている。

消費増税の増収分を「借金の返済」に使うというのは、正しくは既存の借金を減らすという意味ではなく、赤字を減らすことによって借金の膨張を抑制するということにすぎない。

政府資料で、4兆円の部分を「借金の返済」とは書かず、「後代への負担のつけ回しの軽減」(以下、つけ回しの軽減)と表現しているのはそのためだ。

このつけ回しの軽減の中には、社会保障費の自然増への充当分も含まれる。高齢者増加によって医療・介護費は放っておいても増える状況だが、恒常的な財政赤字の中でこの自然増は赤字拡大に直結する。消費税率の5%から10%への引き上げでは、1%分(約2.7兆円)を自然増に充当するとし、使途の内訳ではつけ回しの軽減に含めた。