秋に開業予定の「八百幸 成城店(仮称)」。23区進出への布石だ

28期連続増益──。イオンなど大型全国チェーンの不振を尻目に、快進撃を続ける食品スーパーのヤオコー。埼玉・川越市を地盤とする同社がこの秋、調布市入間町に約300坪の都市型小型店「八百幸 成城店(仮称)」をオープンする。首都圏スーパー各社の攻防が、激しさを増しそうだ。

ヤオコーの店舗数は155店(9月中旬時点)で、半数以上は埼玉県内にある。都心から20~40キロメートルの郊外を「ドーナツエリア」として重点出店地域に設定。東京にはわずか8店、23区内にはゼロだ。広さは450~600坪が中心。なぜ今、都市型小型店なのか。

「2022年に250店舗、売上高5000億円」を目指す同社(16年度の売上高は3430億円)だが、ドーナツエリアは競合他社がひしめき飽和ぎみ。東京23区内は市場が大きいものの、広い土地が少なく建築費も人件費も高いため、従来の店舗モデルでは対応しきれない。そのため、都市型業態を新たに開発する。

川野澄人社長は「本当は駅前に出店したい」と語り、成城店が軌道に乗れば、23区内に積極的に出店していくという。総菜などに強く、提案力のあるスーパーとして知られるだけに、マルエツやサミットなどライバル各社はヤオコーの動向に神経をとがらせる。

ただ、東京での知名度に劣るヤオコーが城を築くことは容易ではない。

小型店特有の難しさもある。「品数を増やそうとすると通路が狭くなり、買い物しづらい。店員の補充作業などにも工夫が必要」(首都圏スーパー幹部)。ヤオコーは専門の部署を設けて対策を検討中だ。

神奈川で“異例”のM&A

一方、ヤオコーは神奈川で食品スーパーを展開するエイヴイを4月に買収した。M&Aなしの自立成長を重んじてきたヤオコーのこの動きに対しては、競合他社から驚きの声が上がった。

完全子会社化したエイヴイは店舗運営の効率化を徹底し、売上高営業利益率は業界平均の3倍近い約5%。ヤオコーの4.2%をも上回る。ヤオコーは都内への出店加速を前に、エイヴイのノウハウを生かし、ローコスト運営を目指す。

ヤオコーは別ルートでも攻め込む。11月下旬には「浦和パルコ」の地下1階食品売り場に、中核テナントとして出店する。ファッションビルへは初進出だ。

従来は大丸松坂屋百貨店が“デパ地下”をイメージした店舗を展開するも、赤字が続いていた。ヤオコーは牛肉など一部の商品では高価格帯を用意するが、全体的には値頃感のある品ぞろえで勝負するという。

浦和パルコで成功すれば、都心の商業施設から声がかかる可能性もある。ヤオコーの新たな挑戦に業界の注目が集まっている。

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