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圧殺される香港の「自由」 閉塞一方の香港メディア

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返還20年、言論の自由が脅かされる香港で“中国直系”のテレビ局までが粛清の対象に。背景を追った。

(文筆家●高橋政陽)
写真:習近平国家主席に宣誓する、林鄭月娥・香港特区行政長官

「番組編成により『鏘鏘(チャンチャン)』はしばらく放送を中止します。皆様の長年のご愛顧に感謝し、必ず再会できることを信じています」

2017年9月12日、微博(中国版ミニブログ)へのある投稿が戦慄を走らせた。あのフェニックスTVも粛清か──。

「鏘鏘」とは1998年4月開始の人気トーク番組「鏘鏘三人行」である。「鏘」は擬音語。にぎやかに鐘を鳴らして3人が行くという番組名のとおり、人気キャスターと文化人、学者らをスタジオに招き、時事問題からスポーツまで旬のテーマを縦横無尽に30分間語って多くの視聴者を得ていた。99年にはなんと、当時は人民解放軍所属の人気歌手で、今では習近平国家主席夫人の彭麗媛がゲストとして出演したこともある。

今や香港で唯一、反中国報道を展開する日刊紙『蘋果日報(アップル・デイリー)』は翌13日、「ネットユーザーは『新たな焚書坑儒』だと非難」との見出しを打ってフェニックスTVの番組中止を伝えた。今回の放送中止は中国政府メディア統括官庁の国家新聞出版広電総局の指令によるもので、看板討論番組「時事弁論会」と国際ニュース解説番組「震海聴海録」も同時に中止されると報じた。「時事弁論会」はテレビ朝日「サンデープロジェクト」と共同制作し、07年には『朝まで生テレビ』で日中初の生放送討論番組を作った番組である。この後、軍事情報番組なども粛清の対象になるという。

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