いでこば・ひさゆき●1999年早稲田大学商学部卒業、リクルート入社。2012年にインディードのチェアマン。13年からCEO。(撮影:尾形文繁)

求職検索エンジンの米インディード創業者に「あなたにとって経営のゴールは何か」とリクルートの出木場久征(いでこばひさゆき)は尋ねた。答えは「1人でも多くの人の求職を手伝うことだ」。拍子抜けするほどのシンプルさに出木場は心を打たれた。

「ゴールにたどり着くために何をやっているのか」とさらに聞くと、「キーワード」と「勤務地」の2つを入力するだけで、求職者1人ひとりにとって最適な検索結果が出るようにしている、その技術に磨きをかけているという。人工知能を駆使し、検索すればするほど求職者にとって最適な結果が出る。「データドリブン企業そのものだ。これはすごい」と出木場は「一目ぼれした」。

「出木場、やれるんだよな」

当時のインディードはほとんど無名だったが、すでにつばをつけている大物の目利きがいた。ベンチャーキャピタリストのフレッド・ウィルソンである。彼の最初の投資先はツイッター、2番目がインディードだった。「売るなら100%、さもなくばゼロ(=売らない)」。これが買収の絶対条件。全株なら約1000億円だ。インディードの当時の売り上げは約80億円にすぎない。「1000億円出す価値が本当にあるのか」「買収後にうまく経営できるのか」。当時のリクルート取締役会はもめにもめた。