相撲が好きだ。初日から横綱3人、すぐ後を追いかけて大関と人気力士の休場、3日目の日馬富士の待った不成立による黒星など、波乱の多かった秋場所も昨日千秋楽を迎えた。優勝や星取りの成果とは無関係な、前から抱いている雑感を書かせていただく。

私の子供時代は双葉山の全盛期で人気横綱が何人もいたが、子供のヒーローは双葉山だった。退く直前に信心の故だろうか、太鼓のばちを振り回して、止めようとしている人々と争っている姿を見たことがある。男女ノ川は晩年、多摩の名物焼き鳥屋で見掛けた。自転車に乗って店の集金の仕事をしていた。

日本人力士の出身県で多いのは青森県だ。若の里が好きで端正な取り口にいつも敬愛の念を持っていた。同じことは同県出身の貴ノ浪にも感じた。後進の相手をするときは、土俵際まで寄られるか押される。本領を発揮するのはそれからだ。寄り返すか押し返す。あるいは投げる。

これは剣道や柔道でいえば達人の余裕だ。達人が後輩と立ち会うときは、三本勝負なら最初の一本は必ず後輩に取らせる。そして後の二本を取る。

貴ノ浪は土俵際まで詰められても人懐こい笑みを浮かべていた。薩摩人の霧島は大関のときに優勝した。娘さんと一緒の写真に父親の愛情があふれていた。その印象を夕刊紙のコラムに書いた。その後、霧島関から自伝の推薦の言葉を頼まれて書いた。私が留守のときに本人から一升瓶が数本届けられた。自身で提げてきたという。