リクルートホールディングスの海外事業が絶好調だ。

リクルートといえば、「カーセンサー」「ホットペッパー」などが有名で、情報誌やネット予約サイトの会社という印象が強い。だが近年は海外の人材派遣事業を買収し、海外事業で急成長している。

2017年4〜6月期(第1四半期)の売上高は前年同期比2割増。牽引したのは海外の人材派遣と求職検索エンジンの米インディード社だ。海外の人材派遣は昨秋1885億円で買収したオランダの人材派遣会社、ユーエスジーピープル社の貢献が大きい。インディードは60%増収で3カ月間の売上高が464億円に達し、結婚情報の「ゼクシィ」や旅行情報の「じゃらん」など国内主力メディアの3倍強にまで成長した。メディアとは、消費者に無料か廉価で情報を提供し、広告掲載料で稼ぐビジネスモデルだ。

「海外に打って出るぞ。本原にならできる」

「これからは海外買収に打って出るぞ。そのために上場もする」。経営企画担当常務だった峰岸真澄(現社長)が本原仁志(もとはらひとし)(現常務)に打ち明けた。江副浩正(13年死去)が創業してから50年目に当たる10年のことだった。「国内で買収した人材派遣会社を育て上げた本原にならできる」。峰岸にはそんな勝算があった。

しかし本原は海外で働いたことがない。英語も堪能とは程遠い。そこでまずは小さな買収で試してみた。それが米シーエスアイ社(CSI)の買収だった。「ここでうまくいかなければ2社目はない」。本原は腹を決めていた。

リクルートホールディングス 常務 本原仁志 
もとはら・ひとし●1983年入社。94年埼京リクルート取締役。98年マーケティング局長。スタッフサービス・ホールディングス社長を経て現職(撮影:梅谷秀司)

本原は、国内で磨き上げた「ユニット経営」を試した。組織を10〜100人の最小単位(=ユニット)に区分けし、ユニットごとに損益計算書(PL)を作る。「チームごとのPLなんて初めて見た」と買収先の従業員は驚いた。PLを基に低採算の派遣先は契約内容を見直す。交渉次第では派遣契約を失いかねないが、本原は「売上高が下がっても構わない」と現場に伝え続けた。