「部隊が全滅してでも達成すべき目標とは何ですか?全滅したら無意味じゃないですか」

「意味はあります。時に部隊の存続より大切な任務もあるので」

以上は、かつて私がベンチャー企業の経営者たちから依頼され、戦略に関するワークショップを開いたときのやり取りである。

彼らは、若く野心にあふれエネルギッシュだった。私の話を聞こうとしたのは、少数精鋭の組織が斬新な経営戦略と新製品で大企業相手に切り込んでいく、そうした自分たちの姿勢が特殊部隊と似ていると思ったからだろう。そのときは、米軍のMDMP(ミリタリー・デシジョン・メーキング・プロセス)の考え方を説明した。

MDMPは、状況分析をどの順番で行い、自分の行動方針をどう決めていくかという思考法である。米軍という非常に特徴的な組織のために作られたものだが、その考え方は極めて合理的かつ論理的だ。そのまま使うことはできなくても、あらゆる分野で応用が利くものであることは間違いない。

そのMDMPで、まず初めに手掛けるのは「何のためにするのか」という目的の明確化だ。 

目的が明確になったら、より具体的に認識しやすいように目標を設定する。目標は、さらに「必成目標」と「望成目標」に分かれる。

必成目標は、これだけは成し遂げなければならないというものだ。換言すれば、部隊が全滅してでも必ず達成しなければならない目標であり、一つしか設定しない。

望成目標は、可能であればここまで成し遂げたいという内容である。達成することが望ましい目標であり、それらはいくつあってもいい。ただし、優先すべき順番と損耗限度、すなわち、失っていいものの上限値を併せて決めておく必要がある。