信用危機の再来に警戒感が強まっている。2018年はリーマンショックから数えて10年の信用サイクルの節目に当たるからだ。

先進国では債務が積み上がり、BIS(国際決済銀行)によれば、16年末で159兆ドルとリーマンショック前を超す水準になっている。ただ、当時の住宅ローンのようにリスクが集中的に積み上がった分野は見当たらない。学生ローンや自動車ローンなどが高水準との指摘はあるが、総額が大きくなく、皆が警戒しているかぎり金融危機のきっかけとなることはなさそうだ。

信用サイクルは本来、下図のように動く。だが、みずほ証券チーフクレジットストラテジストの大橋英敏氏は「近年、シクリカルに動かなくなっている。過去2年くらい回復期で停滞しており、なかなかバブルは積み上がらない」と話す。

資産バブルが形成されない理由の一つに「長期停滞論」が考えられる。

リーマンショック後の経済危機は克服され、景気拡大はすでに99カ月にも及ぶため、FRB(米国連邦準備制度理事会)は金融緩和政策からの脱却を図っている。昨年12月から政策金利を3回引き上げたが、長期金利はあまり上がらない。

名目の長期金利は均衡実質金利、期待インフレ率、リスクプレミアムで決まる。均衡実質金利は中長期的な成長率とイコールだと考えられる。なので、期待潜在成長率と期待インフレ率が上がってくれば、名目長期金利も上がる。名目長期金利が上がらないのは、多くの人々が高成長やインフレを予想していないということだろう。

「そうした環境下では、高値で資産を買うというシナリオは形成されにくい」と大橋氏は見る。投資はグローバルに多くの種類の資産を対象にリスクと価格を慎重に比較考量して行われており、特定の資産に集中せず、バブルの形成は抑制されているという。