「内なる国家」という言葉を使い、自らに歯向かう官僚勢力を敵視してきた米トランプ政権(CNP/時事通信フォト)

米国の雑誌『フォーリン・アフェアーズ』の最新号に「トランプと『内なる国家(deep state)』」という論説が掲載されている。

トランプ政権は、米国の連邦政府に市民の意思に反した独自の勢力が浸透して国家を意のままにしているとたびたび主張してきた。これを解体することこそが政権の使命だというのである。だがそのため、社会保障をはじめ多くの分野で行政の停滞が生じている。論説はこうした状況を明快に解き明かすものである。

「内なる国家」とは、本来は途上国やソ連の社会主義体制のような政治体制の中で、国家を侵食するグループが背後にあるような状態を指している。1950年代のトルコで、共産党が政権を批判するときに「深奥の国家」という表現を用いており、それが語源となったとみられている。ここでいう背後の見えない支配者とは、政府内の一部の官僚勢力であり、とりわけ市民を監視・抑圧する諜報機関であった。

トランプとその支持グループにとり、ロシアとの癒着の疑惑に揺れる政権の敵は、まさにトランプの選挙チームを捜査対象とするFBIやCIAなどの捜査・諜報機関である。加えて官僚、とりわけワシントンの連邦政府に対する根強い不信感は米国社会の奥底にある。こうした気分を揺さぶるマジックワードとしての「内なる国家」は、ちょうど排外主義をあおって、非白人系の移民を敵視するトランプ政権の主張と軌を一にしているのである。

「内なる国家」という詭弁

『フォーリン・アフェアーズ』の論説では、こうした議論の問題を、次の点に求めている。