重松 理(しげまつ・おさむ)1949年生まれ。89年ユナイテッドアローズ設立、社長就任。2012年の会長就任を経て14年から名誉会長。(撮影:尾形文繁)

われわれがEC(ネット通販)の可能性を考え始めたのは1995年くらいから。5年ほど研究した結果、最終的にやらないと決めた。洋服は着てみないとわからないので、ECでは難しいというのが私の実感だった。その後もさまざまな会社から提案をいただいたが、サイトの仕様やデザインがどれもピンとこない。私自身、新し物好きだが、当時は社長としてECには踏み切れないでいた。

そんな中、2000年の初めに社員から聞いて知ったのが、スタートトゥデイの「EPROZE(イープローズ)」というECサイトだった。ストリート系ブランドの服を扱っており、サイトの作りがとても格好よくて、自分たちの好きな服を売っている感じがよく伝わってきた。どんな会社が運営しているのだろうかと気になったので、自分1人だけでスタートトゥデイを訪問した。

当時の従業員は10人ほど。社長の前澤(友作)さんと話したら、物事に対する視野がすごく広いし、商品の質やサービスのあり方についてもよく考えていた。こういう人たちが次の流通を担うんだろうなと思ったし、商売と関係なしに彼らのサービスをずっと見ていきたいとも思った。

程なくして出てきたのが「ZOZOTOWN(ゾゾタウン)」(04年開始)だった。当時見せてもらったデモ画面では、複数のブランドの店舗が集まった街がサイトに形成されており、とにかく格好よかった。すぐにやりたいと思って出店を決めた。ゾゾタウンは洋服が本当に好きな人たちが情熱を持ってやっている。当時、ほかのECサイトからも出店の話をいただいたが、そうした情熱は感じられなかったので、出店はしなかった。