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予兆見えたヤマトの未払い残業代 人件費の謎を追う

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ネット通販の急拡大とドライバー不足で配達の現場は逼迫している(撮影:大澤 誠)

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「10月1日。宅急便の値上げをします。ご理解とご協力をお願いいたします」

今年5月22日、各紙の朝刊に宅配便最大手のヤマト運輸の「お願い」広告が掲載された。実に27年ぶりとなる運賃の全面改定に対する、顧客の理解を求めた。

値上げ幅は個人向けが平均15%。大口顧客向けも平均15%以上の引き上げを目指し、9月末をメドに交渉を進めている。また、大口顧客には値上げと併せて、荷物の受け入れ量を抑制する「総量規制」も求めている。2017年度は前年度に比べ、宅配便の配達個数を3700万個(2%)減らす計画だ。

ヤマトがこうした施策を進める背景には、同社の従業員に対する“賃金未払い問題”がある。16年11月、横浜市にある支店がドライバーに賃金の一部を支払っていないなどとして、労働基準監督署から是正勧告を受けていたことが発覚したのがきっかけだ。

想定超す業務量をサービス残業で吸収

ヤマトではネット通販拡大で宅配便個数がこの5年で3割も増加。特に13年度からアマゾンの荷物を運び始めたことで状況が一変した。宅配便が中核であるデリバリー事業の従業員数を2割強増やす一方、外部業者への配達委託も進めた。

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