現代は企業社会です。その時代を生き抜くうえで、企業の経営状態を知ることは極めて重要です。にもかかわらず、多くの人は、自分がかかわる企業の経営状況を知ろうとしません。

その原因の一つとして考えられるのは、「企業の決算書というのは、専門知識(たとえば複式簿記や会計基準など)が必要なので、素人には読めない」という誤った先入観があることです。

しかし、決算書は決して難しくありません。筆者がここで述べる五つの概念さえ知っておけば、簡単に読むことができる書類です。

まず、知っていただきたいことは、会社ではおカネの出入りが頻繁に行われますが、おカネの入り方は3とおり、おカネの出方は2とおりしかないということです。

会社に入ってくるおカネは、次の3とおりに集約されます。

1. 返すという約束の下に集められるおカネ(負債)

2. 株主からの拠出(資本)

3. 稼いだおカネ(収益)

一方、会社から出ていくおカネは、次の2とおりに集約されます。

1. おカネの価値がなくならずに留保されているもの(資産)

2. おカネの価値がなくなったもの(費用)

昔から商人たちは、これを表に書き表してきました。これを「試算表」といいます。

その記載は極めて単純で、表の右側には、入ってきたおカネ(負債、資本、収益)を表記し、表の左側には、出ていったおカネ(資産、費用)が記されてきました。これは、現代企業も同じです。ちなみに表の右側は「貸方」、左側は「借方」と呼ばれています。