書籍のタイトル『言ってはいけない』というネーミングは秀逸だ。こうしたタブーは会社の中にまだまだある。窓際族という言葉は知られるが、ここ数年間でそれに似た“種族”が急増している。年齢は60~64歳。定年後再雇用された元役職者たちだ。

少なからぬ人が一日中パソコンの画面をのぞき込んでいるだけでほとんど仕事はしない。部長も課長も、自分より年長の無役の同僚に特に仕事を求めない。

こうした年長サラリーマンが職場に増えたのは、雇用延長のせいである。以前は、60歳の定年で会社を去っていた。50歳代後半に、関連会社に転籍する人も多かった。

それが高年齢者雇用安定法の改正で、65歳を迎えるまで、元の職場で働き続けられるようになった。厚生年金の報酬比例部分の支給開始年齢を60歳から引き上げたので、政府は企業に60歳以降の雇用確保義務を課したわけだ。

しかし企業側は彼らを持て余している。役職を外れ、給与水準が大きく下がり、本人たちのモチベーションも極端に下がっている。経営者たちが言葉にしないところを言えば、「これは国が決めたルールだから我慢するしかない」というところだろう。政府は年金の代わりとして、65歳を迎えるまでの生活コストを企業に肩代わりさせた。