ヤマダ限定の「FUNAI」ブランドテレビ。2018年には有機ELテレビの発売も計画(撮影:梅谷秀司)

「今日はこの辺で」──。7月4日16時ごろ、中堅家電メーカー船井電機の創業者・船井哲良氏(享年90歳)は、部下との打ち合わせを終えた直後に息を引き取った。

船越秀明社長は、「生涯現役の船井相談役らしい最期の言葉。相談役に“ご苦労さん”の言葉をもらうためだけにやってきたと言っても過言ではない」と胸の内を明かす。

8月24日に大阪市内で営まれたお別れの会には約900人が参列。船井氏と30年以上の親交があったヤマダ電機の山田昇会長は「テレビにおける価格競争の仕掛け人の一人。OEM(相手先ブランドによる生産)で黒子に徹したのは創業者ならではの決断。私の師のような存在だ」と語った。

北米で成功も近年低迷

船井電機はテレビやDVDプレーヤーなどAV家電を主力とするメーカー。業界のかつての勝ち組だ。

主戦場は北米。小売り大手ウォルマートなどを相手に2000年ごろから本格的に取引を始めた。「エマーソン」など現地の消費者になじみがあるブランドの使用権を買い取り、そのブランドを冠した家電製品を中国の自社工場で生産、低価格で納入するモデルで驚異的な成長を遂げた。

しかし、液晶テレビの時代に移行すると、原価の大部分を占めるパネルを外部から購入することになり、競争力は低下。ファブレステレビメーカーが市場を席巻し、船井電機の業績は下降線をたどった。

16年度の売上高は1338億円とピーク時である06年度の3分の1に縮小。11年度から6期連続の営業赤字だ。経営も迷走を極めた。船井氏は08年に会長に退いたが、ワンマン経営を継続。船井氏との対立や買収失敗の引責などにより、この3年半で4回も社長を交代させている。