IFRS(国際財務報告基準)を適用する上場企業が増えている。4年前は20社程度だったのが、さまざまな業界の主要企業が名乗りを上げ、今年8月時点で上場企業3559社の4%弱に当たる138社が移行済みとなっている。時価総額ベースでは、上場企業の約2割を占める。

なぜIFRS適用企業が増えているのだろうか。会計基準を変更する理由を、日本の会計基準とIFRSの違いから考えてみよう。

[図表1]
(出所)デロイト トーマツなどの資料を基に本誌作成

図表1のように日本基準が会計処理の方法を細かく定める規則主義であるのに対し、IFRSは原則主義だ。原則のみが決まっていて、具体的にどう処理するかは企業の判断に委ねられている。

「利益」に対する考え方も異なる。日本基準は損益計算書(PL)上の収益(売上高)と費用の差額を利益と見なす。一方、IFRSは貸借対照表(BS)を重視し、会計期間における資産と負債の差額(純資産)を利益とする。

日本企業のグローバル化に伴い、業績や財務状況を海外企業と比較しやすくする観点から徐々に導入が進む(図表2)。これが表向きの理由だが、実際は「のれん非償却化」をメリットだと考えて導入する企業も少なくない。

日本郵政とソニー 異なる巨額減損の事情』でも説明したが、のれんはM&Aを行う際に発生し、被買収企業の純資産額と買収価格の差額が資産として計上される。日本基準では原則20年以内に償却する必要がある。

ただ、IFRSでは償却せず、毎期末に減損テストを実施する。問題がなければのれんの価値は減っていないと見なし、PL上で費用や損失を計上しなくてよいのだ。