目が覚めるようなザンジバルの海。この数時間後には天国から地獄に突き落とされた

「ない? ザックが丸ごとない!」。タンザニアのザンジバル島のローカルバスに乗り込んですぐのことだった。

今年の夏休みはタンザニアで過ごした。エチオピア航空の航空券キリマンジャロ行きが極端に安かったからだ。ザンジバル島最北端のヌングイビーチはエメラルドグリーンの色がとりわけ美しく、ホテルを出発する間際に何度も振り返った。

ヌングイからザンジバル島の中心部で世界文化遺産であるストーンタウンまでは約2時間。タクシーなら5000円弱かかるが、すし詰めの乗り合いバスなら100円。けちったのが敗因か……。

最後尾の窓側に座っていて隣は妻。足元に置いた荷物が盗られることは物理的にありえない。ならば車中を移動中に盗まれたのか。乗客にも協力してもらいバスの中を探したが、出るわけもなく、降車。とぼとぼと地元の警察署へ向かう。

手元に残ったのはスマートフォンと財布、帽子のみ。警察署で妻の充電コードで充電しつつ、大使館やカード会社に電話しながら盗難証明書ができ上がるのを待つ。

日本人がパスポートを紛失した場合の再発行の選択肢は三つある。