有料会員限定

中国人への新たな統治 ネット決済拡大が生んだ

✎ 1〜 ✎ 127 ✎ 128 ✎ 129 ✎ 最新
拡大
縮小

アリババなどネット企業の台頭とテクノロジーの進歩がもたらすのは利便性だけではない。新たな社会統治システムとして機能し始めている。

中国ではスマホを使ったネット決済が日常的になっている。写真はシェア自転車を利用する様子(AP/アフロ)

中国ネット通販最大手のアリババ集団が提供する電子決済サービス「支付宝(アリペイ)」について、日本上陸が報道されるなど、注目が集まっている。こうしたネット決済は、信用取引が浸透していない中国での取引コストを引き下げ、企業の生産性向上に寄与する役割を果たしてきた。

一方、海外メディアでは、中国でのネット決済の急速な浸透は、共産党の意を酌んだ大企業に個人情報を集中させ、「監視社会」化を加速するとして警鐘を鳴らす声も少なくない。ここではネット決済自体の是非を論じるのではなく、こういった現象がなぜ中国社会で、世界の最先端を行く形で起きているのかを考えてみたい。

このようなテクノロジーの進歩やそれを牽引する企業が、市民の「できること、できないこと」を決めていくという状況は、目新しいものではない。サイバー法などを専門とする米ハーバード大学教授のローレンス・レッシグは、15年以上前から『CODE─インターネットの合法・違法・プライバシー』などの著作で、テクノロジーの進歩が社会における規制のあり方をどのように変えていくのか、鋭い問題提起を行っていた。

関連記事
トピックボードAD
連載一覧
連載一覧はこちら
トレンドライブラリーAD
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT
有料法人プランのご案内