東京に網の目のように張り巡らされた地下鉄9路線を運営するのが東京地下鉄(東京メトロ)だ。2004年に民営化され、1日当たり利用者723万人、鉄道事業の売上高3691億円(2016年度)は私鉄最大を誇る。一方で、急増する訪日観光客の対応や都営地下鉄との連携など課題は山積する。6月に就任した山村明義社長に今後の方針を聞いた。

やまむら・あきよし●1958年生まれ。80年東北大学工学部卒業後、帝都高速度交通営団(現・東京地下鉄)入団。専務取締役鉄道本部長などを経て2017年から現職。(撮影:梅谷秀司)

──訪日客への対策は?

自動券売機や駅ホームの自動旅客案内装置を多言語表示化することや、駅構内や車内の無料Wi-Fiサービスの整備を進めている。最近は夜に空港に到着する訪日客も多いので、その日限り有効の一日乗車券だけでなく、使用開始から24時間有効というチケットも売り出した。48時間券、72時間券も売り出している。

──日本人の利用者も含め、「駅の案内表示がわかりにくい」という指摘がある。

以前から工夫を重ねているが、なかなかゴールが見えない。最近では単にエレベーターの絵文字を表示するだけではなく、「何メートル先にエレベーターがある」ことがわかるような、よりわかりやすい表示を心掛けている。これからも改善を続けていく。

──大手町のような大きな駅は、使い慣れている人でも迷う。

確かに、4〜5線が乗り入れている駅では、案内がわかりにくかったり、案内が途切れて立ち往生することがある。私自身も、行き慣れない駅では迷って引き返したりすることがある(笑)。

──都営地下鉄との経営統合は進めていくのか。

経営課題であると認識しているが、相手があること。まずは両社の間でサービスを一体化する取り組みを進めていく。

たとえば、「のりかえ専用改札口」を設置することで、都営の列車を降りてメトロの改札から出るといったことが可能になる「改札通過サービス」を進めている。また、九段下駅のように都営と改札を共用している駅もある。

運賃については都営とは70円の乗り継ぎ割引を従来行っているが、この拡大も含めて、どのようにすれば利用者の負担を減らせるか、両地下鉄の経営にどう影響を与えるかといったことを、都や国と勉強している。ただ、まだ方向性を出せる段階ではない。