行動規範の承認を受け、ASEAN地域フォーラム閣僚会議で記者団の取材に応じる中国の王毅外相(AP/アフロ)

8月6日、中国とASEAN(東南アジア諸国連合)は、マニラで外相会議を開き、南シナ海の紛争防止を目的とする「行動規範」の枠組みを承認した。

しかし、元来、中国は多国間枠組みである「行動規範」の策定には消極的であった。領土問題は、二国間で解決すべきだと主張していたのである。

その中国が「行動規範」の策定に積極的な姿勢を示したのは、2016年7月12日に国際仲裁裁判所が、南シナ海における中国の権利をほぼ全面的に否定する司法判断を下した直後である。同月25日、「行動規範」の策定を17年上半期までに完了するという目標を、中国からASEANに提案した。

中国は、国際社会の中で悪者にされるくらいであれば、中国とASEANを「(南シナ海)周辺国」として、米国を含まない小さな単位に関係者を限定したほうがよいと判断したのだ。早急に領土紛争などの当事者の合意を取り付け、米国の影響を排除する狙いである。

日本や米国、さらには英国などの欧州諸国が認識するように、中国の南シナ海における人工島建設やその軍事拠点化を、地域の問題ではなく国際社会の問題として位置づけると、中国が「国際秩序への挑戦者」にされてしまう。

そして、国際社会の問題になれば、米国などが問題解決のプロセスに加わってくる。中国としては最も避けたい事態だ。それゆえ、中国は、南シナ海問題を矮小化して「地域の領土紛争」にしておきたいのである。