シンギュラリティ【Singularity】

「技術的特異点」という意味で、AIを含むコンピュータの能力が人類の能力を超え、社会に大きな変化をもたらす時点のこと。有力研究者は2045年ごろまでにはその特異点に到達すると予測する。ただしこの予測はAI研究者の間では賛否両論だ

チェス、将棋、囲碁などのボードゲームは昔から単なる遊びではなく知を競う競技としてとらえられてきた。だが、その分野ではもはやAI(人工知能)が人間を凌駕している。

2012年に始まった、将棋の棋士とコンピュータが対局する電王戦。今回で最後となる今年の大会(4〜5月)には、昨年の名人戦で羽生善治三冠を下した佐藤天彦名人が出場。将棋界の最高位タイトル保持者とあって注目を集めたが、名人は一勝もできなかった。

この結果をもたらしたのは、AIの一種と位置づけられる機械学習だ。これは与えられたデータからコンピュータが一貫性のある規則や特徴、つまり「答え」を見いだす仕組みである。

名人に勝った将棋AI「ポナンザ」の場合、駒の動かし方などの基本ルール、さらには現在の局面からはどのような手が予測されて、それによりどう局面が変化していくかを計算する方法は人間によってプログラムされている。

しかし指し手の良しあしの判断については、プログラミングされていない。なぜこの手がよい手なのかを言葉で論理的に伝えることは難しく、人間がプログラム上で一つひとつ調整していくことは困難だったからだ。

プロ棋士が実際に指した手と指さなかった手。両者の違いはその後の局面にどのような差を生じさせたのか。ポナンザ自身に膨大な計算をさせたところ、ポナンザは勝つための最善の手を見いだしていった。加えてプロ棋士のお手本には頼らずAI自身に試行錯誤させて学ばせる「強化学習」(機械学習の一種)により、新戦法を編み出すまでになった。

電王戦で佐藤天彦名人(右)に2連勝した将棋AI「ポナンザ」。アームで駒を動かす(日刊スポーツ/アフロ)

ディープラーニングで機械が目を持った