ネット、AI、ブロックチェーンの先にあるテクノロジー

米MIT(マサチューセッツ工科大学)メディアラボは、デジタルテクノロジーと人間の共存をめぐる学際的な領域を扱う研究所だ。その第4代所長を務める伊藤穰一氏は、インターネットの黎明期からベンチャー投資を通してテックの歴史を熟知する人物。テックの過去・現在・未来を聞いた。

米MITメディアラボ所長 伊藤穰一
いとう・じょういち●1966年生まれ。米タフツ大学、シカゴ大学中退。ナイトクラブの経営やベンチャー投資のデジタルガレージ設立などを経て、2011年から現職。米ニューヨーク・タイムズなどの取締役も務める。(撮影:今井康一)

──コンピュータとインターネットに代表されるデジタルテクノロジーは結局のところ、世界の何を変えたのでしょうか。

簡単にいうと、イノベーションを起こすためのコストが劇的に下がった、ということ。インフラとしてネットがあり、ソフトウエアはオープンソースを使うので、自分で書くプログラムはちょっとだけでいい。パソコンがあれば始められる。だから米グーグルや米フェイスブックといった企業が、大した資金もなくてもプロダクトとビジネスを作ることができた。

言い換えると、大企業やベンチャーキャピタル(VC)のようなおカネを持っている人たちは、あぐらをかいていられなくなった。だからシリコンバレーの数々の企業に投資してきたセコイア・キャピタルみたいなVCでも、最近は何百億円という大きな投資だけでなくて、小さなサイドファンドを作って500万円ぐらいから投資するようになっている。これは短期的にはコストに見合わないんだけれど、小さい額を入れてスタートアップとつながりを持っていないと、いざ大きなオポチュニティが来たときに、声がかからない。