日本銀行前審議委員(現・野村総合研究所 エグゼクティブ・エコノミスト)
木内登英(きうち・たかひで)●野村総合研究所、野村証券のエコノミストを経て、2012年7月から17年7月まで日本銀行政策委員会審議委員。7月から現職。(撮影:尾形文繁)

9月に行われる日本銀行の金融政策決定会合から、「反対意見」が消えることになりそうだ。

民間エコノミスト出身の審議委員、木内登英氏と佐藤健裕氏が7月に任期満了で退任した。両氏は黒田東彦総裁就任後、しばしば総裁の提案に反対票を投じた。2013年4月の「量的・質的金融緩和」の決定時から独自の見解を述べてきた木内氏に、今後の金融政策のあり方を聞いた。

──2年で2%の物価上昇率目標を掲げた「量的・質的金融緩和」政策を導入してから4年が経った。マイナス金利などの政策を追加しても、日銀は目標を達成できていない。問題点はどこにあるのか。

目標設定の仕方自体が間違っていた。

金融政策の役割とは、日本銀行法のとおり、「物価の安定を図ることを通じて国民経済の健全な発展に資する」こと。つまり、最終目標は日本経済を安定成長させ、国民の生活をよくすることだ。この点が忘れられ、「物価目標至上主義」に陥ったことが問題だった。

13年4月、量的・質的金融緩和という手段には私は賛成した。当時の日本経済は総需要が供給力を下回り、物価上昇率もマイナスだったので、金融政策で正常化を図るのが妥当だった。ただ、国債購入は最大年50兆円で2年程度の限定的な手段にすべきだと考えていた。「2%」に固執すると、達成のために政策が長期化する、あるいは政策を拡大させることになる。2%はあくまで中長期の目標にすべきだ、と提案してきた。