トヨタ自動車が2016年1月に米シリコンバレーに設立した研究子会社、トヨタ・リサーチ・インスティテュート(TRI)は、AIとロボティクス研究のドリームチームだ。

CEO・所長にはギル・プラット氏が就任。以前は米国防総省でロボティクスを研究していたAI研究の第一人者だ。そのプラット氏を慕って、世界的な研究者が続々と集まっており、現在の研究者数は200人に上る。今後さらに250人まで増やす計画だ。

優秀なAI研究者をめぐっては、世界の企業や研究所間で激しいリクルート競争が繰り広げられており、プラット氏にも米グーグルから誘いがあったようだ。トヨタは「自由にやってほしい」と大きな権限を付与。投資額も5年間で10億ドルと巨額を確保した。現場の研究者にとってはトヨタが持つビッグデータも大きな魅力である。トヨタは世界で年間約1000万台を販売しており、10年かければ約1億台から膨大な走行データが集まる。

トヨタがTRIに力を入れるのは、2020年代にも本格化する自動運転社会を見据えてのことだ。自動車業界は現在、110年前の量産車・T型フォード誕生以来の大きなパラダイムシフトを迎えている。内燃機関の能力や走行性能をめぐる競争から、人の手を離れAIなどを使い、誰でも快適に移動できる手段やサービスにできるかが問われ始めている。