「おいしい和菓子を喜んで召し上がって頂く」

これは、ようかんで有名な「とらや」の企業理念である。残念ながら甘い物を食べる習慣がないので、とらやの和菓子を食べたことはない。知っていることといえば、持ち帰りの黒い紙袋に金の虎が描かれていることや、創業が江戸時代よりも前で、老舗中の老舗という程度であった。

しかし、この企業理念を知ったとき、特殊部隊を創隊した当時の思いと重なった。それは、企業理念さえしっかりしていれば、新商品の開発にしろ、価格の改定にしろ、人事の決定にしろ、困ったり悩んだりしたときには、そこに立ち返れば、すべての判断基準とすることができるのだろうと思ったからである。

少し調べてみると、とらやは高級和菓子店の伝統をかたくなに守り抜いてきたというわけではない。「変えてはいけないものはない」との方針の下、経営改革を何度も行っていた。それでもブランドを毀損せず今日まで商えているのは、「おいしい和菓子を喜んで召し上がって頂く」という企業理念が、従業員をはじめとするステークホルダーを支えてきたからに違いない。