「1強多弱」を誇ってきた安倍晋三首相の勢いが急速に衰えている。加計学園問題では連日、攻撃にさらされ、安倍氏が重用してきた稲田朋美防衛相は南スーダンPKO(国連平和維持活動)部隊の日報問題で辞任に追い込まれた。

8月3日、安倍氏は内閣改造に踏み切ったが、支持率の回復は簡単ではない。来年秋の自民党総裁選で3選、2021年までの「超長期政権」を目指すはずだったが、その可能性は小さくなってきた。むしろ、今秋の臨時国会での政権危機さえささやかれる。来年の通常国会を乗り切るのも容易ではない。安倍政権がいつまでもつのか、三つのシナリオを検討してみよう。

(1)臨時国会で行き詰まる

臨時国会は9月下旬には召集される見通しだ。加計学園が愛媛県今治市に開設する獣医学部をめぐっては、安倍氏との近しい関係から優先的に許認可されたのではないかという疑惑が払拭されていない。野党側は追及の手を緩めないだろう。

野党は臨時国会でも関係者の参考人招致や証人喚問を要求し、紛糾必至だ。各種世論調査でも、加計問題についての安倍氏の説明に納得できないという回答は7割に上り、加計問題が長引けば、支持率の低下は免れない。

安倍氏は、臨時国会中に自民党の憲法改正案をまとめて衆参両院の憲法調査会に提出するという方針を示している。自民党内では今のところ、改憲案づくりの作業を急ぐ動きが出ているが、提案すれば与野党の対立が避けられないため、「自民党案は作るが、実質棚上げして与野党の話し合いを続けることになる。合意までにはかなりの時間がかかるだろう」(自民党幹部)との見方が有力だ。

安倍氏が目指す改憲スケジュールが難しくなれば、政権の求心力が弱まることは確実だ。