2017年6月1日、東京・大手町。「なぜ、多くの若い男女が紺色で個性のないスーツを着ているのか」。香港から来た筆者の友人は、日本の新卒採用の現状を聞くと、「今時……」と絶句した。新卒採用選考の解禁日には、おなじみの光景だ。日本企業に入社するための「メンバーシップ権」を得るために、学生らは日本企業のカラーに染まることを宣誓する。同時に、日本の若者が世界の労働市場においてガラパゴス化し始めることも意味する。

日本特有の新卒採用は「メンバーシップ型」採用がほとんどだ。就社と言われるように、職務を定めずに人を採用し、雇用安定と引き換えに特定の職種にかかわらない働き方が求められる。これにより、企業への忠誠心が高まり、専門能力のない学生でもポテンシャル採用という名の下に仕事に就くことができる。結果、若年失業率が低位安定化し、日本社会の安定性を高めてきた。

だが、弊害もある。就職活動が短期決戦となり、学生、企業双方にとって研究や選別が不十分になりやすい。学歴などの外形的な要素や、就活塾などで即席で学べる面接の上手下手が最終判断に影響を与えるようになってしまう。

就職後も同一企業内でよいメンバーでいることに重きが置かれ、各個人の専門性を磨く動機づけが働きにくい。そのため、将来のキャリア像を描けないうえに、どのような力を伸ばせばキャリアを構築できるのかさえはっきりとしなくなる。企業内でのみ通用する力しか持たない個人にとって、「ジョブ型」採用が一般的な世界の労働市場やベンチャー企業で働くのは並大抵のことではない。