平日は都心賃貸、休日は郊外持ち家という暮らし方も(イラスト:熊野友紀子)

人間が生活するための基本は「衣食住」といわれている。確かにどれも生存のために不可欠なものだが、衣と食は、これを財産と考える人はいない。衣服はダメになるものであり、数年の間に買い替えていく。どんなにおいしい食事でも、保存して財産にすることはできない。衣と食は消費活動なのである。

それでは住宅はどうであろうか。日本では、ほぼすべての人がマイホームを持つことにあこがれてきた。「家を持って一人前」などといわれ、生涯の収入のうち多くを住まいにつぎ込んできた。また、国は国民が家を所有することを奨励し、税制などの制度で住宅ローンを著しく優遇してきた。

マイホームを異常に重視してきたのが戦後の日本の社会である。

その大きな理由の一つが「家は財産になる」ということだった。

高度成長、地方から都市への大量の人口移動が起こった結果、3大都市圏を中心とした都会の地価は上昇し続けた。住宅の不足する状態が長く続いたからだ。地価の上昇は、「家は財産」という信仰を国民に植え付けた。

ところが今や、郊外の住宅は、財産という価値で見れば惨憺(さんたん)たる状況になっている。都心の一部の住宅を除くと、住宅の価格は大幅に下落している。

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